ポジティブ思考の第一歩。忙しい毎日でもできる「自分を褒める」習慣
ポジティブ思考を身につけたいと思っても、日々の忙しさの中で「そんな心の余裕はない」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。特に家事や育児に追われる毎日では、自分のことはつい後回しになりがちです。漠然とした不安や疲労感の中で、「どうすれば前向きになれるのだろう」と悩むこともあるかもしれません。
しかし、ポジティブ思考は、特別なことや難しいことをする必要はありません。まずは、ほんの小さな一歩から始めることができます。その中でも、今日からすぐに実践できて、心の状態を良い方向へ導く効果的な方法の一つに、「自分を褒める」という習慣があります。
なぜ「自分を褒める」ことがポジティブ思考につながるのか
私たちは、他人の良いところや成功を認めたり、感謝の気持ちを伝えたりすることは比較的得意かもしれません。しかし、自分のこととなると、ついできていないところに目が行きがちになったり、「これくらいできて当たり前」と自分を厳しく評価したりすることが多いのではないでしょうか。
自分を褒める習慣は、このような自己否定的な思考パターンから抜け出し、自分自身の良い側面や頑張りを意識的に見つける練習になります。これは、心理学でいう「自己肯定感」を高めることにもつながります。自己肯定感とは、「自分は価値のある存在だ」と思える感覚のことです。
自己肯定感が高まると、以下のような変化が期待できます。
- 心の余裕が生まれる: 自分の価値を認められると、必要以上に他者と比較したり、失敗を恐れたりすることが減ります。
- 前向きな行動が取りやすくなる: 「どうせ自分にはできない」ではなく、「これならできるかもしれない」と思えるようになります。
- ストレスへの耐性がつく: 困難に直面しても、「自分なら乗り越えられる」という自信が支えになります。
このように、自分を褒めることは、ポジティブ思考の土台となる自己肯定感を育む、とても有効な方法なのです。
忙しい毎日で実践!自分を褒める具体的なステップ
では、具体的にどのように自分を褒める習慣を取り入れたら良いのでしょうか。忙しい毎日でも無理なくできる、簡単なステップをご紹介します。
ステップ1:今日の「できたこと」を見つける
まずは、「今日、自分ができたこと」に意識を向けてみましょう。これは、何か特別な成果である必要はありません。
- 朝、時間通りに起きられた
- 食事の準備ができた
- 子供の宿題を見た
- 洗濯物を畳んだ
- 約束の時間を守れた
- 部屋の片隅を少しだけ整頓した
- 一杯の温かいお茶を淹れてゆっくり飲んだ
- エレベーターではなく階段を使った
このように、普段当たり前だと思っていること、誰かに頼まれたことではなくても自分が行動したこと、どんなに小さなことでも構いません。「完璧にはできなかったけれど、ここまでできた」という途中経過でも十分です。
ポイントは、「〇〇しなければならなかったのに、できなかった」という視点ではなく、「〇〇ができた」「〇〇をやってみた」という肯定的な視点で見つけることです。
ステップ2:心の中で、あるいは声に出して「褒める」
「できたこと」が見つかったら、次にそれを「褒める」という行為に移ります。心の中で「よくやったね」「偉いね」「頑張ったね」と自分自身に言葉をかけてみましょう。
もし周りに人がいない状況であれば、実際に声に出してみるのも効果的です。自分の耳で肯定的な言葉を聞くことで、脳にポジティブな情報が伝わりやすくなります。
どのような言葉を使えば良いか迷う場合は、以下のようなフレーズを参考にしてみてください。
- 「〇〇ができて、私はすごい!」
- 「今日の〇〇、よく頑張った」
- 「自分、お疲れ様」
- 「〇〇しようと思って、ちゃんと実行できたね」
- 「私の〇〇(名前)、よくやった!」
最初は気恥ずかしいと感じるかもしれませんが、練習するうちに自然にできるようになります。大切なのは、形よりも「自分を認めて肯定する」という気持ちです。
ステップ3:褒めるタイミングを決める(または隙間時間を活用する)
この習慣を定着させるためには、実践するタイミングを決めるのがおすすめです。
- 夜寝る前: 1日の終わりに、今日できたことの中から1つか2つを選んで褒める。
- 朝起きた後: 「今日も一日頑張ろうとしている自分、偉い!」と肯定する。
- 家事や仕事の区切り: 一区切りついた時に、「ここまでできた自分、よくやった」と褒める。
- 移動中や隙間時間: 通勤中や待ち時間などに、今日の良かったことやできたことを思い返して褒める。
忙しい方は、特定の時間を確保するのが難しいかもしれません。そんな時は、ふと立ち止まった時、休憩している時など、短時間の隙間時間を活用してみましょう。例えば、お茶を淹れる間、信号待ちの間など、意識すれば様々なタイミングで見つけることができます。
習慣化のためのヒント
- 無理なく、小さく始める: 最初から完璧を目指す必要はありません。1日1回、何か1つでも良いので褒めることから始めてみましょう。
- 記録をつけてみる: 手帳やノート、スマートフォンのメモ機能などに「今日できたことと、自分を褒めた言葉」を簡単に書き留めてみるのも良い方法です。後で見返すと、自分がこんなに頑張っているのだと実感できます。
- 他の習慣と組み合わせる: 「歯磨きをした後に今日の良かったことを1つ思い出す」「コーヒーを淹れる間に自分を褒める」など、すでに身についている習慣の前後に組み込むと忘れにくくなります。
- できなくても落ち込まない: もし忘れてしまったり、毎日できなくても気に病む必要はありません。「今日はできなかったな。明日またやってみよう」と軽く捉え、できる時に再開すれば大丈夫です。
まとめ
ポジティブ思考は、一朝一夕に身につくものではありません。しかし、「自分を褒める」という小さな習慣は、その確かな第一歩となります。日々の忙しさの中で見失いがちな自分の頑張りや価値を認め、肯定的な言葉を自分自身に贈ることで、心の状態は少しずつ、しかし確実に良い方向へと変化していきます。
完璧を目指すのではなく、まずは今日、何か一つでも「できたこと」を見つけて、自分を褒めてみませんか。その積み重ねが、あなたの心を穏やかにし、前向きな毎日を過ごすための大きな力になるはずです。